恋をしたことがない僕へ
こんなタイトルで書くと君は
「僕が恋をしたことがないと何故断定できる!」
と憤慨するかもしれないけれど、残念ながら君は恋をしたことがない。
少なくともある女性と出会う前に抱いているそれは好意でこそあって愛ではない。
それを知って僕も驚いた。
君はもう少しするとある女性と出会う。
彼女の顔はとても綺麗で、目がどの宝石よりも綺麗で、口や鼻が人形みたいに小さくて、体もエッチくて、世界で一番可愛いと主観的にも思うし客観的にもそうだと思う。
けれどさっき書いた色々な要素ではなく、彼女の声や表情に感情を素直に表現できるところに君は惚れる。
奇跡的にも彼女も君を好きらしくて二人は恋をする。
信じられるかい?
自分以上に大切な人ができるなんて。
君は人を好きになっても自分と同じレベルまでしか相手を大切に思える訳がないと信じているだろう。
それは間違いだ。
彼女に悲しいことが起こると彼女の気持ちを慮って泣いてしまうし、彼女が怪我や病気になったら変わってあげたいと思う。
芯から、心の底から。
信じられるかい?
彼女と喧嘩をして半日喋れなくなっただけで心に穴が空いた気がして、その状況が続くのが怖くて怖くて泣きながら謝ってしまうことを。
これまで物理的な要因でしか泣いたことがなくプライドが異常に高い君が、しゃべりたいというただそれだけの理由で泣いてしまうんだ。
信じられるかい?
毎日、何時間も彼女と喋るのを。
それでも足りなくて休みの前日は朝まで喋ることを。
毎日飽きもせず楽しく喋って、しゃべればしゃべるほど好きになっていくのをきっと信じられないだろうね。
彼女のいない日常は悲しい。
寂しい。
一度手に入れた幸せをもう手放すことはできない。
これ以後生きていても彼女の人生に関われないならば死んでしまいたい。
愛する人に愛していることをわかってもらえて一緒に生きたい。
僕はこれから過去の君に誇れるように、未来の僕に責められないように彼女のことを愛していこうと思うよ。